江戸から未来の東京へ 東京最高の名物料理
レストランウィーク2026

Pick Up

「本当にいい店だったね、絶対また来ちゃうよね」「コースも良かったけど、今度はアラカルト食べてみたいかも」「てか、今どきこの値段、嬉しかったね」。ここを友達と訪れた帰り道の、本音の会話だ。渋谷駅から少し離れた静かな場所。中華鍋を握るのは、巨匠、脇屋友詞シェフの元で長年修業した平賀大輔シェフだ。オシャレだけれど行き過ぎていない内装と、どこか家庭的な雰囲気の店内なので、気軽にカウンターに一人で座っても心地良さそう。

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「桃の木」の元シェフ小林武志氏が自ら目の前で腕を振るうカウンター席と個室に分かれ、個室では従来の名物料理を、カウンターでは新たに創作した料理がいただける。外の皮一枚を隙間を開けて巻いた、皮の食感と中のあんの対比が美しい、「海老と黄韮の春巻」。味が澄み切っていながら奥深い滋味が広がって、ため息をつかせるスープ「頂湯」。いずれも高く複雑な香りを放つ料理を堪能できる。一方個室では、「ナスの衣揚げ」など、小林シェフならではの名品も待っている。

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惜しまれつつその看板を下げた四川料理のレジェンド「趙楊」の娘さん夫婦が営む火鍋＆四川伝統料理専門店。厨師の田中宏茂さんは前職の音響職から30 代なかばで趙楊の厨房に入るという異色の経歴ながら、趙楊氏に芸術と料理に通底する素養を見出され、調理の粋を叩き込まれた。柔らかなサービスに心温まり、骨太で繊細な味わいの四川料理に臓腑が温まる。

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福岡で中華といえば！　という名店が東京・浅草に移転した。営業日が絞られ、まっすぐな姿勢がより鮮明になった。コースで提供される4 種の棒棒鶏は文献からひもといた1930 年代、60 年代、80 年代、93 年当時のレシピによる。発祥期から四川料理黄金期まで4つの異なるレシピに整理する情熱にこうべを垂れ、各時代を反映した仕上がりに歓喜する。調理技術は再現性を高め、味を研ぎ澄ますための武器。

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「ゲストの要望をより良く理解し、満足していただけるように。」との思いから、この4 月、5 年目にして店のリニューアルに踏み切った。独立前、魚河岸でも数ヶ月間働いたことがある湯浅大輔シェフだけに、コースでは魚介が中心。中でも、おすすめは「車海老の海老味噌炒め」だ。以前から人気の「海老チリソース」をバージョンアップ。車海老本来の味をもっと生かしたいと、チリソースの代わりに車海老の味噌を活用した自信作だ。

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ヌーベルシノワや広東・上海料理では驚くほど手のかかった皿に出会うことがある。「トゥーランドット 六本木ヒルズ店」の料理長など脇屋友詞シェフの懐刀だった丸山輝雄シェフが繰り出す皿には、技術と経験が凝縮されている。シグネチャーの「トロ豚角煮の黒酢の酢豚」も角煮の手間に酢豚の手数を加えた手のかかる仕立てをわざわざ選んでいる。清潔感ある小体な店内で、上海料理をベースに、四川料理のエッセンスも盛り込まれたヌーベルシノワが提供される。

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干し鮑、海参と並ぶ中国の高級乾貨として知られる魚翅。一口にふかひれといっても、おなじみの姿煮によく使われる吉切鮫から繊維の太い青鮫に鹿鮫など種類も様々。店を任されたのはホテルニューオータニ「大観苑」出身の金澤祐斗シェフ。王道の煮込みも、上海流定番の醤油と白湯ソースの他、青ネギと青山椒をきかした翡翠ソースに蟹ソースの3 種を用意するなど独自のアレンジも一興。コースのほか、手軽なセットや単品もある。

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大躍進を続ける味坊集団の中で、2017年に3店目として誕生した人気店。一頭買いした羊を階上の厨房でさばき、鮮度抜群のまま多彩な料理で提供する。スパイスの香りも素晴らしい炭火で焼き上げるラムチョップや餃子、炒め物に加え、中国東北地方ならではの小皿料理も揃い、味坊系列の代名詞ともいえるカジュアルなナチュラルワインが進むこと請け合いだ。昼からの通し営業で、さまざまな客層が集い、店内はいつも熱気にあふれている。

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人参油で炒めた人参の炒め物は、極細同寸に切られるが、一緒に入れられた大根や筍は主役である人参を引き立てるため、0.5 ミリほど幅が細い。また極細同寸に揃えたセロリを、軽く茹で、蝦子と酢などで作ったソースで和えた「セロリの蝦子酢和え」や、蒸して余分な脂を落としてからローストし、スープに入れて、白菜の芯とともに、じっくりと蒸した豚バラ肉など、料理はいずれも五味の調和を大切にし、食材を思いやる心と食べる人の健康を願う、慈愛に満ちている。